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V8・4.6Lの静けさが160万円。レクサスLS460後期という高級セダンの狙い目

愛's MAGAZINE編集部

新車で買えば900万円クラス。それが7〜8年で160万円まで下がってくる——。高級セダンの世界には、そんな「沼」があります。今回くに社長が選んだのは、レクサスLS460の後期型(通称40型)。V8・4.6リッターの余裕たっぷりのエンジンと、思わず黙り込むほどの静粛性を持ちながら、お値段はコンパクトカー並みという一台です。しかもこれは、いちばん下の「ベースグレード」。それでも社長が「この値段ならアリじゃないでしょうか」と太鼓判を押すのには、ちゃんと理由があります。年式や走行、装備、走りの体感、そして気になる維持費まで、実車を見ながら包み隠さずご紹介します。これから中古の高級車を狙う方の、リアルな判断材料になるはずです。

まずは「顔」で見分ける、LS460という一台

白いレクサスLS460後期のフロントとスピンドルグリル
後期型の目印はレクサスおなじみのスピンドルグリル。白ボディの程度も良好な一台。

レクサスLSの40型には、前期・中期・後期の3つがあります。今回の主役はいちばん新しい後期型。見分けるいちばんのポイントは「顔」であるフロントグリルで、後期になるとレクサスおなじみのスピンドルグリルに切り替わります。前期・中期は内装がほとんど共通ですが、後期だけは中身もガラッと変わっているのが大きな違いです。テールランプも後期はデザインが引き締まっていて、社長いわく「なんかかっこいい」。ぱっと見の印象だけでなく、こうした年式ごとの違いを知っておくと、中古車選びはぐっとラクになります。

実はこの車、以前に紹介したクラウン160万円の回にもチラッと登場していた一台です。そのときは手ブレがひどくて紹介しきれず、車も一度は在庫から消えたのですが、縁あって戻ってきたため今回が2回目の登場。撮り直しできた分、じっくり中身までお見せできます。外装は修復歴なしのきれいなコンディションで、大きなダメージも見当たりません。まずは第一印象として「程度のいい後期LS」という点を押さえておいてください。

平成29年・8万km台で160万円という素性

白いレクサスLS460の全体像と新車価格のテロップ
新車当時はベースグレードでも車両本体でおよそ900万円。それが7〜8年落ちで160万円に。

気になる素性です。年式は平成29年(2017年式)で、まだ10年経っていません。走行距離はおよそ8万km台と、この年式の高級セダンとしては十分に若い個体です。車検もだいたい1年ほど残っていて、自動車税なども込み。それで乗り出しに近い160万円という値付けになっています。新車当時の価格を調べると、ベースグレードでも車両本体でおよそ900万円。オプションを足せば950万円ほどにはなっていた一台です。7〜8年でここまで下がるのが高級車の宿命であり、中古で狙う側からすれば大きなチャンスでもあります。

ひとつだけ、正直にお伝えしておくべき点があります。LSは保証の企画対象外のため、今回は保証が付けられません。高年式・低走行とはいえ、V8の高級セダンですから、購入後のメンテナンス費用はある程度見込んでおきたいところ。とはいえ、新車から7〜8年落ちで160万円という数字は、それを差し引いても十分に魅力的です。社長自身も、次のフルモデルチェンジ版であるLS500を「一度は乗ってみたい」と語るほど、この系譜には惚れ込んでいます。LS500はV6・3.5ツインターボと3.5ハイブリッドという新しい心臓に切り替わったモデルで、大排気量V8を積む40型LSは、いわば一世代前の「本物」。ダウンサイジングが進んだ今だからこそ、この最後のV8サルーンを狙う価値があるのです。

ベースグレードでも、装備は思った以上に充実

レクサスLS460のパワーバックドアで開いたトランク
オプションのパワーバックドア。開けると思わず「広い!」と声が出るトランク容量。

「ベースグレードだから」と侮ってはいけません。まずパワーバックドアがオプションで付いており、開けてみると社長も「広い!」と声を上げるほどのトランク容量。ドアはスライドドア以外もすべてソフトクローザーで、軽く添えるだけで何事もなかったように吸い込まれて閉まります。この「静かに閉まる」感覚は、社長が愛車のランクルにも欲しいと羨むほどの上質さです。まさに高級車ならではの所作といえます。

さらにこの個体には、社長イチオシのデジタルミラーを装着。走行中もテレビが見られるテレビキット、走りの味を変えられるコマンダーのスポーツモード、後席の電動シェード、後方ドライブレコーダー、レクサス純正のロックナットまで揃っています。ベースとはいえ、日常で「これが無くて困る」という装備はほとんど見当たりません。必要なものは、必要なぶんだけ後から足していける——これも中古で高級車を賢く仕立てるコツのひとつです。

荷室の使い勝手も見どころです。パワーバックドアを開けると、大人が思わず「広い!」と口にするほどのトランク空間。ゴルフバッグはもちろん、家族の大荷物もすっぽり収まります。セダンというと荷室が心配という声もありますが、このクラスになると心配は無用。長距離の旅行や送迎まで、堂々とこなせる懐の深さがあります。静かで、広くて、装備も十分——ベースグレードという言葉から受ける印象を、いい意味で裏切ってくれる一台です。

内装はベージュのファブリック。明るさが心地いい

レクサスLS460後期のベージュ内装と後席シート
ベージュのファブリック内装。後席は「座った形跡がない」ほどきれいな状態だった。

ベースグレードゆえ、シートは革ではなくベージュのファブリック、サンルーフも非装着です。ですが、これがむしろ好みという方も少なくありません。ツルツルの革が苦手というご年配の方や、ふかふかの布地の座り心地を好む方には、うれしい仕様です。革のメリットはシートヒーターやシートクーラーが付くこと、汚れをさっと拭き取れることですが、そのぶん経年で傷んだ革の張り替えリスクが無いのはファブリックの気楽さでもあります。

社長も「最近はベージュの明るさがいい」と実感しているそうで、天井まで明るいこの内装は、室内をぐっと広く感じさせてくれます。実際、後席は「座った形跡がないくらい」きれいな状態で、大切に乗られてきた一台であることがうかがえました。中古で内装色を選ぶときは、汚れの目立ちやすさも含めて見立てるのがコツ。ベージュ系ならフロアマットを敷いておくと、より長くきれいに保てます。明るく開放的な室内は、一度座ると意外とクセになります。

V8・4.6Lの走りは、驚くほど静かでスルスル

レクサスLS460を試乗する社長の運転席まわり
試乗中。V8・4600ccは驚くほど静かで、少し踏むだけでスルスルと速度が乗る。

いよいよ試乗です。走り出してまず出る言葉が「快適だね、静かだね」。ちょっとアクセルに触れただけでスルスルと速度が乗り、60km/h出ていても体感は30km/hほど。エンジン回転数も1200回転そこそこで、8速オートマが淡々と巡航をこなします。気づけば50km/hペースが、まるで一般道の流れのように軽やか。この速度感の希薄さこそ、高級セダンの醍醐味です。

V8・4600ccならではの、振動の少なさもさすがのひと言。かつて10系セルシオが、ボンネットの上でシャンパンタワーを崩さず高回転まで回してみせたという逸話を思い出す静けさです。ルーツをたどればLS400(セルシオ)は4.0〜4.3リッター、レクサスLSになって4.6リッターへと育ちました。いま旧車として人気が再燃しているセルシオを思えば、V8の滑らかさを160万円で味わえるのは、この時代ならではの贅沢だといえます。平均燃費はおよそ6.3km/L。数字だけ見れば正直な大排気量ですが、その代わりに得られる質感は格別です。

おもしろいのは、こうした往年の名車が今あらためて評価されていること。以前、広島から買い取った20系セルシオは、店に並べるとあっという間に売れていったそうです。若い世代にとっては、平成初期の車はむしろ新鮮。「一周回ってかっこいい」という感覚で、当時を知らない世代がその魅力に気づき始めています。そう考えると、後期LS460も数年後には「あの頃のV8はよかった」と語られる一台になっていくのかもしれません。今の価格で程度のいい個体に乗れるのは、ある意味で今だけの特権ともいえます。

「ベースグレードこそコスパが良い」の理由

レクサスLS460のリアエンブレムとテールランプ
「LS460」のエンブレム。ベースグレードでも、LSの中身はしっかり本物です。

ここで社長の持論です。バージョンSやバージョンLといった上位グレードになると、革シートなどが付いて200万円を超え、プラス50万円ほど高くなります。でも、ベースグレードにもV8・4600のエンジン、しっかりした足回り、プラットフォームという「LSの美味しいところ」はすべて入っています。社長のたとえが秀逸で、いわく「ラーメンのスープと麺は最上級のまま、チャーシューやネギが乗っていないだけ」。スープと麺が一級品なら、それだけでも十分ごちそうというわけです。

この考え方は、社長の愛車ランクル300にも当てはまります。最廉価のGX(約500万円〜)にも、上位と共通のV6・3.5ツインターボとフレームが載っているからです。ボクシーの最上級グレードとアルファードの最廉価グレードが同じ値段で並ぶように、「上位の下」か「下位の上」かは悩みどころ。ですが、素材が一級品ならベースを選ぶのも賢い手です。上位グレードとの差は「トッピング」だけ——そう考えると、ベースグレードの見え方がガラッと変わってきます。

維持費は正直に。それでも「買い」と言える

いいことばかりではありません。V8・4.6Lゆえ、自動車税は年8万8000円。今回は年式が若いので済んでいますが、初度登録から13年を超えると10万円超えになり、1年に一度これが来るのは正直こたえます。同じく紹介したクラウンが5万円ちょっとだったことを思えば、ちょうど倍。「物が安くても維持費が高い」というご意見はもっともです。ですが、それもひとつの選択肢として乗れるという前向きな話でもあります。

高級車はリセールが悪いぶん、中古で買う側にとってはお買い得という裏返し。維持費という現実を受け止めたうえで、それでも「V8の静けさを160万円で味わえる一台」として、これは十分に有力な選択肢だと思います。実用一辺倒ではない、こういう車に憧れる時間があってもいい。「いつかはこういう一台を」と思っていただけたら、それが何よりうれしいです。

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