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元値300万円超のV6が乗り出し50万円。日産フェアレディZ(Z33)バージョンTを買って検証
新車当時は300万円以上したV6スポーツが、いまや乗り出し50万円——。そう聞くと、思わず二度見してしまいますよね。愛’s Countryのチャンネルが掲げるのは「100万円でも我慢じゃない、コスパ最強の車選び」。今回プロの目利きでご紹介するのは、その象徴とも言える日産フェアレディZ(Z33)バージョンTです。エアロもついていない素の一台ですが、だからこそ見えてくる面白さがあります。「安い車には安いなりの理由がある」とよく言われますが、この一台の場合は少し事情が違います。なぜ50万円で買えるのか、どんな素性の車なのか、そしてどんな人にこそ楽しめるのか。買い取りで戻ってきた実車を前に、値段の中身まで包み隠さずレビューしていきます。これから中古スポーツカーを探す方の、ひとつの物差しになれば幸いです。
今や希少、2003年式フェアレディZ(Z33)

主役は2003年式(平成15年)のフェアレディZ。登場が2002年ですから、いわゆる前期型で、車齢はなんと22年落ちです。街で見かける機会もめっきり減り、社長いわく「今やだいぶ珍しいかもしれない」一台。グレードはバージョンTで、足元は18インチのホイールを履いています。ボディカラーは光の当たり方でシャンパンにも見える上品なシルバー系。走行距離は10万3,500kmと、年式なりに距離は伸びていますが、それでも修復歴なしという点は、スポーツクーペとしては大きな安心材料です。車検も令和8年12月まで、およそ1年半ほど残っての状態でした。ミッションはオートマで、そこは「残念ながら」と社長も苦笑いですが、この割り切りこそが後述する価格につながっていきます。ちなみに先代のZ32はTバールーフで屋根が開く仕掛けが人気でしたが、Z33はそれをやめ、クーペらしい塊感で勝負したモデル。まずは、こういう素性の一台だと押さえておいてください。
元値300万円超が、なぜ50万円なのか

プライスは乗り出し50万円。新車当時は300万円を超えていた車ですから、価格だけ見れば破格です。ではなぜここまで下がるのか。理由のひとつは、この個体がオートマの前期型だから。マニュアル、とくに6速MTになると相場はぐっと上がり、100万円超えも珍しくありません。さらに顔つきが変わる後期型(2008年頃〜)は、いまだにしっかり値が張ります。もうひとつは、この車の来歴です。実はこの一台、以前くに社長が販売した車で、オーナーだった海外の方が母国へ帰るタイミングで、再び店へ買い取りとなって戻ってきました。ナンバーはわざわざ地元・江戸川で取得したというこだわりよう。日本のスポーツカーが大好きで、大切に乗っていたことが伝わります。社長いわく「こういう日本のスポーツカーを好む外国の方は意外と多い。向こうでは買えなかったり、買えてもとんでもない値段になる」とのこと。だからこそ日本にいるうちに、と楽しんでいたのでしょう。いずれにせよ、一度自分の手で売り、状態を知り尽くした車が戻ってくる——これほど出所のはっきりした中古車もありません。素性が見えることは、それだけで大きな安心につながります。
VQ35・3.5リッターV6が生む本領

心臓部は、名機VQ35——3.5リッターV6の自然吸気です。エンジンをかけた瞬間の音からして、ふだんのハイブリッド車とはまるで別物。乗り込むと目線がぐっと低く、それだけで気分が上がります。「なんかワクワクするよね」という社長の一言が、この車の魅力をそのまま言い表しています。アクセルを踏めばV6らしい厚みのあるパワーがしっかり出て、走りは文句なし。気になる燃費はリッター7.2kmほどで、これだけのエンジンを積んでいることを思えば「意外と悪くない」数字です。後席のない2シーターなので、車重も比較的軽め。ハイブリッド全盛の今、こうした自然吸気V6の生の鼓動は、もはや貴重な体験と言っていいでしょう。マニュアルも過去に扱ってきた社長ですが、「キャラクター的にはオートマの方がゆったりクルージングできて、これはこれでいい」との評価。ガチガチに攻めるだけでなく、大人が流して乗るプレミアムクーペとしても様になる懐の深さが、この車の魅力です。
装備を見ていく——ナビ・電動シート・切替メーター

この個体は、前オーナーの手でしっかりカスタムされています。目を引くのが、ダッシュに鎮座する大型の社外Androidナビ。Z用として売られている海外製で、ネット価格で約16万円という立派なもの。Apple CarPlayにも対応し、スマホと連携すればYouTubeなども映せます。表示の一部が中国語で「Made in China」の文字が残っているのはご愛嬌ですが、CarPlayが使える時点で実用性は十分です。シートは電動のパワーシートで、Zらしい上質感があります。メーター中央は油温・水温・電圧・油圧を切り替え表示できる凝った仕様で、スポーツカー心をくすぐります。荷室(トランク)にはタワーバーが渡され、ボディ剛性への配慮もばっちり。センターには吹き出し口が追加され、後方にもスピーカーが備わるなど、前オーナーが手をかけてきた跡が随所に見られます。おもしろいのがスノーモードで、これは発進時の駆動力を抑えて滑りにくくする機能。ただしZはFR(後輪駆動)で、あくまで四駆になるわけではありません。雪国のお客様も多い愛’s Countryだからこその、正直な注意点も添えてくれました。
ドリフトベースとしての素質

そしてこの車、社長が推すのがドリフトベースとしての適性です。FRで、素の状態、しかも乗り出し50万円。「万が一潰してしまっても、ある程度あきらめがつく」——このハードルの低さが何より大きいと社長は言います。オートマのままドリフトを楽しむのもアリで、そこからデフを入れたり電子制御を解除したりと、いじり方は人それぞれ。もちろん街乗りの快適なクルーザーとして乗るのも良し、です。デフロックや溶接デフを入れて本格仕様に振れば、サーキットでも十分に遊べます。一方で本気の練習用として見ると、ホイールベースが短く軽い分、動きがクイックで少々シビアという面も。「ゆったり動かして練習するなら、車重のあるセダン系の方が扱いやすい」という正直なアドバイスもありました。このあたりを承知の上で、いじって育てる楽しみを味わえるのがZ33の懐の深さです。とはいえ難しく考えなくても大丈夫。免許取り立ての若い方が、最初のスポーツカーとして選ぶにも、この価格とキャラクターはうってつけ。FRの後輪が路面を蹴り出す感覚は、一度味わうと病みつきになります。
今、買える車は買っておく——社長の本音
こういうスポーツカーに触れると、ついつい若い頃を思い出す。撮影中も社長の思い出話が止まりませんでした。「今は快適な車が一番」と言いながらも、こんな車は若いうちに乗っておくのがいい、と。というのも、22年落ちの名車たちは今まさに値上がりの真っ最中。かつて手が届いた一台が、気づけば手の届かない存在になっていく——そんな例をいくつも見てきたからこその実感です。「乗れるうちが買いどき。今買える車は、買っておいた方がいい」。これが社長の本音です。何百万円のローンを組む前に、現実的な予算で好きな一台を楽しむという選択肢を、ぜひ知っておいてください。乗れなかった人ほど「欲しい欲しい」が募り、値段はどんどん上がっていく。だからこそ、乗れるうちに動くのが正解だ、というわけです。ありがたいことに、最近はYouTubeを見て社長に会いに来てくださる方も増えているそう。3連休のさなかにも、動画をきっかけに足を運んでくださったお客様がいたと、うれしそうに話していました。愛’s Country(アイズカントリー)では、こうした一点物のスポーツカーから家族向けの実用車まで幅広く扱っています。「この車、実際どうなの?」という素朴な疑問でも構いません。気になった方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。あなたの「乗ってみたかった」を、一緒に形にします。