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知らないと損する車検の変更点。「2ヶ月前」と「ロービーム検査」で通らない車が出るかも
車検のルールが、いままさに大きく2つ変わろうとしています。ひとつは私たちドライバーにとってうれしい「緩和」、そしてもうひとつが「今まで通っていた車が、これから通らなくなるかもしれない」という要注意の変更です。とくに後者は、10年以上お乗りの車やHIDヘッドライトの車にとっては、けっして他人事ではありません。今回は中古車マイスター・くに社長に、車屋さん目線で「知らないと損する車検の変更点」をじっくり聞きました。ご自身の愛車が当てはまらないか、チェックしながら読み進めてみてください。
車検切れが怖いのは「2つ同時」に切れるから

本題に入る前に、まずは足元の「車検切れ」から。なぜそこまで危険なのか、ご存じでしょうか。ポイントは、車検が切れるとき、多くの場合「自賠責保険」も一緒に切れてしまうことにあります。この2つが同時に切れた状態で公道を走ると、罰則は一気に重くなります。
社長いわく、切れて1日2日程度なら自賠責はまだ残っていることが多いそう。新車で買うときも1ヶ月ほど余裕を持たせて自賠責を継続していくため、車検日ぴったりで自賠責が切れる例は、じつは意外と少ないのだといいます。とはいえ、数ヶ月も放置してしまえば話は別。強制保険である自賠責まで切れているケースは十分あり得ます。
気になる罰則も、かなり厳しいものです。車検切れ・自賠責切れはいずれも違反点数6点で一発免停が基本。車検切れだけでも6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金、自賠責切れなら1年以下・50万円以下と、両方が重なればさらに重くなります。「たまーにいますよ」と社長。お客様から「やばい、車検が切れてた」と電話が来ることもあるそうです。まだ切れていなければ、とにかく切れる前にお店へ。すでに切れて動かせないなら、仮ナンバーと自賠責を用意して引き取りに行く——といった段取りになります。まずは満了日をしっかり把握しておくことが、余計なトラブルを避ける第一歩です。
【朗報】車検が「2ヶ月前」から受けられるように

ここからが変更点その1、うれしい「緩和」の話です。これまで車検は、満了日の1ヶ月前から受けないと「損」をする仕組みでした。たとえば1ヶ月より前に受けてしまうと、その受けた日から新しい2年がスタート。つまり、まだ残っていた期間をムダに捨てることになっていたのです。
それが今後は「2ヶ月前」からに拡大されます。仮に10月1日が満了日なら、8月1日以降に受けても、次回の満了日は変わらず2年後の10月1日のまま。8月10日に受けたとしても期間を損せず、実質最大で26ヶ月ぶんを使える計算になります。早めに動いても損をしない、というのは地味ながら大きな変化です。
社長がこの緩和のありがたさとして挙げたのが、連休シーズンの混雑です。「よくある連休明けって、車のトラブルがすっごい増えるんですよ」と社長。ゴールデンウィークなどの大型連休の前後は、車の不調がぐっと増える時期。ちょうどその時期に車検の期限が重なると、整備工場はバタバタで予約も取りづらくなります。2ヶ月前から動けるようになれば、混雑を避けて余裕を持ってスケジュールを組めるわけです。なお、満了日は最近小さくなった車検証には記載がなく、「自動車検査証記録事項」という書面に書かれています。まずはそちらで、ご自身の車検満了日を確認しておきましょう。
【要注意】ヘッドライトが「ロービーム検査」へ移行

そして変更点その2、こちらは要注意の話です。ヘッドライトの検査方法が変わります。少し歴史をたどると、昔の車検ではヘッドライトは「ハイビーム」での検査だけでした。それが数年前から「まずロービームで検査し、ダメならハイビームで再検査」という形に。そして今度は、この再検査という逃げ道がなくなり「ロービーム限定」へと移行していくのです。
当初は今年の8月から全国100%ロービーム化という話でしたが、実際には地域によって延期される形になりました。社長が調べたネットの情報では、北海道・東北・北陸・信越・中国地方はすでに移行済み。一方で、関東・中部・近畿・四国・九州・沖縄は、2026年8月1日まで最大で延期という扱いになるようです。ここで押さえておきたいのが、今までハイビームの再検査で通っていた車が、ロービーム限定になると一気に厳しくなるという点です。
社長自身、先日フェアレディZ(かなり古い車)の車検で予備検査に通したところ、「これギリギリだね」と言われ、ラインでドキドキしながら並んだそう。整備は全部終わっていても、ライトばかりはどうにもならない。まさにギャンブルのような瞬間だといいます。延期のおかげで今回は通ったものの、2年ちょうどで車検を付けて納めた以上、次の車検はもう通らない見込み。ルール変更が現場でどう効いてくるか、社長自身が身をもって体験しているわけです。
測っているのは「光量」。通らない車が続出するワケ

ではロービーム検査で、いったい何を見られるのか。社長は「基本的には光量、つまり明るさ」と即答します。光の向き(光軸)はズレていても調整すれば済む話。問題は、明るさそのものが基準に届くかどうか、なのです。
なぜ通らない車が続出するのか。社長が例に挙げたのが、お店でもよく扱う20系のヴェルファイア/アルファード、そしてエスティマといった車たち。これらに多いHIDヘッドライトは、切れなくても経年でだんだん光の量が落ちてくるのだそうです。バルブそのものが壊れるわけではないのに、明るさだけがじわじわと弱っていく。ここが、なかなか気づきにくいところです。
さらに追い打ちをかけるのが、レンズの劣化です。ヘッドライトのカバーはプラスチック製のため、年数が経つと曇ったり黄ばんだりします。「それが相まって、光量が足りずに車検が通らない」ケースが、実際にお店でも出てきているといいます。やっかいなのは、見た目では判断できないこと。「ライトが点いているのは分かるけど、光量がどれくらい出ているかは、見てもわからない」と社長。結局はテスター屋さん(陸運局周辺の予備検査場)に持ち込んで、初めて「あっ、ダメだ」と分かる。この不確実さこそが、今回の変更のこわいところです。
対策は「バルブ交換」から。実は黄色い光のほうが有利
では、通らないと分かったらどうするか。対策は段階的です。まずは手軽なところで、バルブ(電球)の交換。とはいえバルブも1個1万円ほどはするうえ、「物が壊れているわけではない」ので、交換して測ってみるまで通るかどうかは分からない、というのが正直なところ。1個買って付けてみて「ダメでした」という可能性もあるわけです。
ここで社長が明かした、意外なコツがあります。それは「色味」です。ヘッドライトのバルブには6000K(ケルビン)・8000Kといった数値があり、これは光の色を表します。数字が大きいほど白っぽく(青白く)、見た目には人気ですが——車検の観点では、実は「黄色っぽい」ほうが有利なのだそう。純正はだいたい4100〜4200Kほどの、少し黄色っぽい光。見た目のカッコよさで6000K・8000Kの白い社外バルブに替えている人も多いですが、車検では純正の黄色い光のほうが断然通りやすいといいます。
社長も昔は、社外HIDを付けた車の車検に備えて、純正バルブ(2個で5000円ほど)を常に持ち歩いていたのだとか。白く派手なほうがカッコいい、という気持ちはよく分かりますが、こと車検に関しては逆。まずは純正相当の色に戻す——これが、覚えておきたい第一の対策です。
曇り・黄ばみのケアと、最悪の「アッセンブリー交換」
バルブを替えても光量が戻らない場合は、次にレンズそのもののケアに進みます。外側のカバーが曇っているなら、コーティングや研磨でクリアさを取り戻す。プロジェクタータイプで中のレンズが曇っている場合は、ヘッドライトを外して内部を掃除する、という手もあります。ここまでやれば、たいていは光量も回復してくるといいます。
それでもダメなら、最終手段はヘッドライト「アッセンブリー(ユニット丸ごと)」の交換。ただし、これはバンパーを外してライトを外して……と手間がかかるため、工賃も含めてかなり高額になりがちです。しかも「やってみないと通るか分からない」という不確実さもつきまとう。できれば避けたい出費です。だからこそ、いきなり大きな修理に走るのではなく、バルブの色や状態、レンズの曇り・黄ばみといった「安く済む可能性」から順にチェックしていくのが、賢い進め方といえます。
見落としがちな「指定工場」の落とし穴

最後に、見落としがちな落とし穴を。前述のとおり関東などは延期扱いですが、だからといって安心はできません。カギを握るのが、民間の「指定工場」の存在です。社長が普段車検を出している指定工場は、関東で延期対象にもかかわらず、すでにハイビーム検査をやめてロービームのみに切り替えているとのこと。
理由は監査対策です。指定工場は検査を代行できる立場ゆえ、不正防止のための監査が頻繁に入ります。細かいところまでつつかれるため、あらかじめ厳しい基準で運用しているところが多いのです。その結果、「陸運局に持ち込めば通るのに、指定工場だと落とされる」という逆転現象も起こり得ます。延期地域だからと油断していると、思わぬところで足をすくわれるわけです。
まとめ。10年落ち・HID車は「心の準備」を
まとめると、今回の車検変更は「2ヶ月前から受けられる緩和」と「ロービーム検査への移行」の2本立て。前者は素直にうれしい話ですが、後者はとくに10年以上お乗りの車やHID車にとって、「通らないかも」という心の準備と、まとまった出費の可能性を頭の片隅に入れておきたいところです。
愛車のヘッドライトが最近くすんできた、光がなんだか暗い気がする——そんな方は、車検前に一度チェックしておくと安心です。バルブの色や状態、レンズの曇りといった「安く済む可能性」から順に見ていけば、いきなり高額な出費になるリスクも下げられます。ご自身の車が心配な方は、ぜひお気軽にご相談ください。車屋さん目線で、無理のない進め方を一緒に考えます。