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オークション代行をおすすめしない理由|中古車のプロが語る返品トラブルと「会場回し」の実態

愛's MAGAZINE編集部

中古車をオークションで安く手に入れたい——。そう考える方は少なくありません。最近は「オークション代行」といって、業者オークションに出ている車を手数料で落札してくれるサービスも増えました。でも、中古車のプロであるくに社長は「うちは代行をやりません」と言い切ります。今回は、あるCLAの仕入れで起きたトラブルを入り口に、オークションで買った車は本当に返品できるのか、なぜ代行をすすめないのか、そしてあまり表に出ない「会場回し」という現実まで、包み隠さず語ってもらいました。中古車選びで損をしたくない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

加速しなくなったCLA。オークション車で起きた実話

オークションで買ったCLAの加速トラブルを説明するアニメーション
陸送屋さんから「途中から加速がすごく遅い」と指摘されたCLA。原因はターボにあった。

事の発端は、社長がオークションで仕入れた1台のCLAでした。知り合いの陸送屋さんに運んでもらったところ、「途中から加速がすごく遅い」と言われたそうです。社長自身が乗ってみても、走り出しはまったく問題なし。ところが15分ほど走ると、アクセルを踏んでも加速がにぶくなる。おかしいと思ってコンピューターをつないで調べると、原因はターボにありました。ターボアクチュエーターに過度な過給圧がかかり、セーフモードに入ってターボが効かなくなっていたのです。今はちゃんと加速するけれど、ある日を境に、まったく加速しなくなることもある。こうした不具合は、乗ってすぐには気づきにくいのが実情です。まさに、オークション車の怖さが詰まった一件でした。

オークションで買った車は、返品・返金できるのか

車内でオークションの保証ルールを解説するくに社長
ターボアクチュエーターのような「小物」は、基本的に保証の対象にならないと語る。

では、こういう不良に当たったとき、オークションなら返品や返金ができるのでしょうか。「できるはず」と思っている方も多いはず。でも実際には、返品・返金にはこまかいルールがいろいろあります。今回のターボアクチュエーターやプレッシャースイッチのような、いわゆる「小物」は基本的に保証の対象に一切なりません。さらにやっかいなのが、チェックランプが点いている車。国産でも輸入車でも、クレームにならないことが結構多いのだそうです。とくに10年10万kmを超えた車は要注意。よほどのエンジン内部の異音や、ミッションの激しいシフトショックでもない限り、クレームは通らないのが現実です。「古い車まで対象にしていたらキリがない」という、業界側の事情も透けて見えます。買う側は、この線引きを知っておくだけでも身を守れます。

500万円のポルシェが、エンジンを開けたら…

社長が数日前に見たというYouTube動画の話も、とても示唆的でした。走行3万kmほどのポルシェ911カレラ(996型)を、あるお客さんが500万円で購入したそうです。ところが、立派なショールームに置かれていたその車、「エンジンをかけていいですか」と聞くと「ショールームの中ではかけられない」と言われたのだとか。それでもお客さんは500万円を払って購入。いざエンジンをかけると、カンカンカン……とすごい音がしたそうです。あるポルシェのプロショップでエンジンをバラしてみると、ピストンは傷だらけ、鉄粉もびっしりという状態。結局、返品も返金もできなかったといいます。動画のコメント欄では「なぜエンジンもかけられない店で買ったのか」「販売店も分かって売っていたのでは」といった声が並んだそうですが、これはお客さんだけの問題とも言い切れません。中古車の世界には、こうした落とし穴が確かに潜んでいるのです。

なぜ愛’s Countryは「オークション代行」をやらないのか

オークション代行について語るくに社長
数万円の手数料だけで、責任の持てない車を売ることは「やりたくない」ときっぱり。

ここからが本題です。オークション代行とは、業者オークションに出ている車を、手数料をもらって代わりに落札するサービス。たとえば100万円の車に10万円の手数料を乗せて、110万円で納車する、といった形です。ですが、もし納車後しばらくして車が走らなくなったら——。オークション上はクレームになりませんから、損をするのは結局お客さんです。しかも代行だと「あなたが欲しいから買ってきた」というスタンスになるため、キャンセルもまずできません。社長の考えは、とてもはっきりしています。「売った車には責任を持ちたい。でも、責任を持つには利益がないと持てない」。数%・数万円の手数料だけで車を売ることは、儲かる儲からない以前に、どうしてもやりたくないというのです。いい車が安く買えればお客さんは喜びます。でも、そうでなかったときに誰も責任を取れない仕組みが、社長にはどうしても引っかかるのです。

「代行は誰でもできる」——それでも社長がやらない理由

いい車が安く買えれば、お客さんは喜びます。でも100人のうち1人か2人でも「ハズレ」を掴んだ人がいれば、猛烈な文句が返ってくる。それでも代行では「あなたが見て決めたんでしょう」で終わってしまう。社長はそこに強い違和感を持っています。そもそもオークション代行は、オークションの権利さえ持っていれば誰にでもできる仕事。「だったら、僕じゃない人がやればいい」と言い切ります。おもしろいのは、こんな話。代行をやっている店で車を掴んでしまったお客さんに、社長が「そこでもう一台買えばいいじゃないですか」と返すと、「その店、もうないんだよね」という答えが多いのだとか。目先の数万円は稼げても、無責任な商売は続かない。「そういうことをやっているから、潰れて僕のところに来るわけでしょう」——長く商売を続けるには、やはり適正な利益と責任が欠かせない、というわけです。社長は「自分の会社と、周りにいる人を守らなければいけない」とも話します。目先のお金に飛びつかない姿勢は、まわりまわってお客さんの安心にもつながっているのです。

あまり語られない、「会場回し」という現実

輸入車コーナーの会場回しを説明する図解(白いメルセデスGLB)
A会場のチェックランプをリセット・消去し、B会場で何食わぬ顔で再出品する——という構図。

もうひとつ、社長が明かしてくれたのが、オークションの「会場回し」という現実です。輸入車のオークションには、大きく2つのコーナーがあります。ひとつは「輸入車プライムタイムコーナー」。過去3ヶ月以内にオークションに出ていないことなどの規約があり、基本はユーザー買取車が中心です。もうひとつが、ただの「輸入車コーナー」。ここにはA会場で買われ、B会場へ回された車がとても多いのだそうです。たとえばA会場では「エンジンチェックランプ点灯」と出品票に書かれていた車が、B会場では何も書かれていない。仕入れた業者が次の会場に搬入し、コンピューターをつないでランプを消して再出品しているのです。結果、A会場で50万円だった車が、B会場では65万円に。千葉の会場に名古屋ナンバーの車が出ていたら、まず「回された車」を疑う——これが社長の見方です。ルールを破っているわけではなく、決められた行為の範囲内。それでも、結果的にお客さんが騙されることはある、という話です。

その車が手放された理由と、「バックオーダー」という答え

バックオーダーについて語るくに社長
3月からは「くに社長の車探しバックオーダーコーナー」もスタートした。

実際、社長が昨日のオークションで見た車は、その前の会場で70万円ほどだったものが、翌日には85万円ほどに値上がりしていたそうです。そもそも人が車を買い替えるのには、きっかけがあります。チェックランプが点いて見積もりが10〜20万円、あるいは車検で15〜20万円かかる——それなら買い替えよう、というパターンがとても多い。つまり、故障や高額な整備が理由で手放された車が、そのまま次の誰かの手に渡っていく可能性がある、ということです。だからこそ、愛’s Countryは「バックオーダー」という形を取っています。代行との違いは、適正な利益をきちんといただくこと。届いた車を社長が見て、直すべき機関的な部分があれば直す。そのためにはお金が必要で、適正な利益がなければ適正な整備もできません。さらに、都心の店舗はそもそも在庫を置くスペースにも限りがあります。たった数万円の利益で、書類がいつ届くか分からない車を長く預かるのは現実的ではない——これも代行をやらない、素直な理由のひとつです。3月からは「くに社長の車探しバックオーダーコーナー」もスタートしました。欲しい車の条件は、文面よりも電話で話したほうがずっと伝わります。十数年この仕事をしてきたプロだからこそ、話せば「この人はこういう車が好きだな」と見えてくるのだとか。中古車選びで迷ったら、まずは気軽にご相談ください。あなたにぴったりの一台を、責任を持って一緒に探します。

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