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社長が歴代で一番長く乗った名車、ホンダ・エリシオン。今も出会えたら即買いの理由
「これ、今も程度のいい個体に出会えたら、正直すぐ買っちゃうかも」——そんな言葉が思わずこぼれた一台がありました。中古車マイスター・くに社長のもとに、この日ふらりと入ってきたのはホンダ・エリシオン。しかも平成16年式、22年落ちという、なかなかの年代物です。じつはこのエリシオン、店頭に並ぶ商品車ではなく下取りで入ってきた一台。売り物ではありません。それなのに社長のテンションが上がったのには、ちゃんと理由がありました。今回は、社長が歴代でいちばん長く乗った相棒でもある名車を、思い出話もまじえながらじっくりご紹介します。
社長が「歴代で一番長く乗った」名車、エリシオン

エリシオンは、ホンダがかつて手がけたフラッグシップミニバンです。今の若い方だと名前もピンとこないかもしれませんが、じつは愛's Countryが開業した12年ほど前、主力在庫としてバンバン売っていたのがこのクルマだったそう。社長にとっては、商売としても、そして自分の愛車としても、思い入れの深い一台なのです。
社長自身、かつて前期型に乗り、さらに3.5リッターV6のプレステージまで乗り継いだ筋金入り。無限エアロ付き・本顔仕様のフルエアロ車を、当時9万kmで120万円ほどで手に入れ、そこから4年半も付き合ったといいます。「たぶん歴代でいちばん長かったかも」という言葉に、愛着がにじみます。その後は30系後期のベルファイアへ乗り換えたそうですが、いまだに「エリシオンはいいなあ」とこぼすのだから、よほど肌に合った一台だったのでしょう。
思い出話は走りの音にも及びました。「マフラーを買ったのは、あれが最後の車だな」と社長。柿本の4本出しマフラーを組んでいて、帰宅時には2つ手前の交差点あたりから、家の中まで音が伝わってきたというから豪快です。「ゲロゲロゲロっと鳴らしてね。今やもうノーマルですよ、年取ったなあと思う」と笑う姿に、このクルマと過ごした青春がにじんでいました。エリシオンは、社長にとって単なる商品ではなく、人生の一時期をともにした相棒なのです。
平成16年式・ブルーメタリック。22年落ちの素性

今回の個体は平成16年(2004年)式。西暦にすると、なんと22年前のクルマです。エリシオンといえばシルバーやブラック系が多い印象ですが、この個体のボディカラーは少し珍しいブルーメタリック。深みのある落ち着いた色で、年式のわりに外装が意外なほどきれいに残っていました。
走行距離はおよそ9万7400km。22年落ちと聞くと身構えますが、「意外と距離はいってないんだよね」と社長。10万kmにも届いていません。装備面ではオプションのモデューロのエアロも付いていて、見た目の満足度はなかなかのもの。とはいえ、ドアミラーが少しプラプラしていたり、ナビが壊れていたりと、年式相応にくたびれた部分があるのも事実です。じつは車検があさって切れるという、まさにギリギリのタイミングでの持ち込みでした。
8人乗り3列シート、「クルーザーのような乗り心地」

このエリシオンは8人乗り。3列シートのミニバンですが、この時代は8人乗りが当たり前だったといいます。実際に座ってみると、2列目はまるでソファーのようなふかふか感。3列目も座面がしっかり上がってスライドし、大人が長時間乗っても疲れにくい、しっとりした座り心地でした。
じつはエリシオン最大の弱点は、3列目が跳ね上げも床下収納もできないこと。ミニバンとしては珍しく、シートをぺたんと畳んで荷室をフラットにする芸当ができません。ところが社長いわく、その「畳めなさ」こそが、あの座り心地の良さを支えているのだとか。当時のCMでも「クルーザーのような乗り心地」とうたっていた記憶がある、という話が出ましたが、実際に乗ってみると本当にそんな表現がしっくりくる、堂々とした乗り味でした。3列目までゆったり座りたい方には、むしろ理にかなった選択肢です。ワンボックス然とした広さと、どっしり落ち着いた乗り味。大人7〜8人が本当にくつろげるミニバンは、今あらためて探すと意外と少ないものです。畳めない不便さと引き換えに手に入れた快適性は、家族での長距離移動でこそ真価を発揮します。
前後で映像を分けられる、画期的なリアエンタ

装備で社長が「これは画期的だった」と力を込めたのが、リアエンターテインメントです。この個体にはリア用のヘッドホン入力まできっちり付いていて、前と後ろで別々の映像を流せるのが特徴。たとえば後席の子どもたちはヘッドホンで好きなDVDを楽しみ、前席は前席で別のことができる、という具合です。
今でこそ高級SUVなどにある機能ですが、これを22年前にやってのけていたのがエリシオンのすごさ。社長の愛車にはこの機能が付いていなかったため、なんと屋根を自分で切ってDIYでモニターを増設したという猛者っぷり。配線を前まで引き回し、天井に鉄板を張ってモニターを取り付けたというのですから、その惚れ込みようが伝わってきます。ちなみに内装の木目パネルは一本物で、経年で割れやすいのは、この年式ならではのお約束だそうです。
荷室アレンジと、社長のルーフボックス活用術

3列目が畳めないぶん、荷室は割り切って使うのがエリシオン流。3列目を一番後ろまで下げると荷室はコンパクトになりますが、逆に3列目を前へ寄せれば、想像以上に広いトランクスペースが生まれます。社長は普段、3列目を前に畳んでトランクを大きめに取る使い方をしていたそうです。前席・後席の位置を入れ替えるように調整でき、乗る人と積む荷物のバランスで自在にレイアウトを変えられます。
ここで社長が推していたのがルーフボックス。エリシオンは車高を落とした状態でルーフボックスを載せても、全高が2.1mに収まるのがミソ。立体駐車場やショッピングセンターの2.1m制限にすっと入れたので、付けっぱなしのまま買い物にも行けたそうです。キャンプの積載や、冬のスノーボード遊びでも大活躍。「アルファードだと外さないと無理だから」と、このコンパクトさは意外な強みだと語っていました。
2.4リッター×5速AT。走りは十分、燃費は正直

この個体のエンジンは2.4リッター。組み合わされるミッションはCVTではなく5速オートマで、そのぶんダイレクトな加速感が味わえます。「2.4でも結構走ると思う」と社長。実際に走らせてみても、足回りはしっかりしていて、とても22年前のクルマとは思えない仕上がりでした。距離が少ないのも効いているのでしょう。
ただし、正直に言っておくべきは燃費です。街乗りだと5〜6km/Lまで落ち込むこともあり、この日の実測でも低燃費計は5.5km/Lを表示していました。「なぜかオデッセイは燃費がいいのに、エリシオンは悪いんだよね」と社長も苦笑い。車重のせいかもしれない、とのことでした。走りとゆとりを取るか、燃費を取るか。ここは正直に受け止めておきたいポイントです。
装備まわりで通好みなのが、2.4リッターにはオーディオレスの設定があったという点。純正ナビがない分、社外ナビをパネルのツラにぴったり収められるので、見た目がすっきり仕上がるのだそうです。社長も当時はオーディオレス車を選び、サイバーナビを入れて「何台に移植したか分からないくらい」歴代で使い回したのだとか。標準のハードディスクナビはCDから録音して使う懐かしいタイプで、使い勝手は今どきとは言えませんが、そこも含めて平成のいい味です。
エリシオンとオデッセイ、そしてRCという答え
「今のオデッセイって、なんだかエリシオンっぽいですよね」——撮影中に出たこの一言、じつは鋭い指摘でした。かつてホンダには、ヒンジドアのオデッセイとスライドドアのエリシオンという2台のミニバンがありました。この2台がやがて統合され、生まれたのが今のRC型オデッセイというわけです。つまり、現行オデッセイの背骨には、エリシオンの血が確かに流れているのです。
社長が「アルファードやヴェルファイアの、あの派手な顔つきの元祖はエリシオンのプレステージだ」と語っていたのも印象的でした。大型コンソールを備えた豪華な内装、堂々としたフロントマスク。高級ミニバンというジャンルの、ひとつの原点が、じつはこのエリシオンにあったのかもしれません。隠れエリシオン好きの方なら、きっとうなずいていただけるはずです。
それでも「今から仕入れるのは」——保証と相場のリアル
ここまで散々ほめておいて、なのですが。社長に「じゃあ在庫として仕入れますか」と聞くと、答えは慎重でした。「好きなのと、売れるのは違うからね」と。愛's Countryでは最近、年式の古すぎるクルマには保証を付けないようにしているそうで、エリシオンはすでに最終型でも15年落ち。安心してお客様におすすめするには、少し悩ましい年代に差しかかっているのです。
相場を見ても、程度のいい最終型のV6となると、それなりの価格になってきます。だからこそ今回の個体も、販売ではなくオークションへ流す判断になりました。名車であることと、商売として扱いやすいことは、必ずしもイコールではない——プロだからこその、正直で誠実な線引きだと感じます。それでも「相変わらずいいなあ」とつぶやく社長の横顔には、このクルマへの愛が確かににじんでいました。
中古車選びで、覚えておいてほしいこと
今回のように、エリシオンほどの年代物になると、状態の見極めがものを言います。同じ年式・同じ距離でも、程度の差は驚くほど大きいもの。だからこそ、信頼できるお店で、中身までしっかり説明を受けて選ぶことが何より大切です。社長も「別にうちで買わなくてもいいから、こういうことは注意してほしい」と、業界の裏側にも触れながら繰り返し話していました。総額表記のからくりや、契約まわりのグレーな慣習には、くれぐれもご注意を。
愛's Countryは、こうした一台一台の素性や履歴を包み隠さずお伝えしながら、あなたにちょうどいい相棒を一緒に探していくお店です。「隠れエリシオン好き」の方も、これから中古ミニバンを探す方も、気になることがあればぜひ一度ご相談ください。好きになれる一台との出会いを、全力でお手伝いします。