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40万円のマツダ・ビアンテはなぜ返ってきたのか|中古ミニバン「末路」の教訓
「40万円で売った車が、返ってきてしまいました」――。今回ご紹介するのは、社長の”末路シリーズ”に登場したマツダ・ビアンテ。下取りで入ってきた一台を、良いところも悪いところも包み隠さずお見せする企画です。ポイントは、この車が決して古くないのに手放されたという事実。年式だけ見れば、まだまだ現役で使えそうな一台です。それでもオークション行きが決まったのはなぜか。下取り車ならではの、生々しい金額の話も出てきます。中古ミニバン選びのリアルと、「安い車」の裏側まで、包み隠さず正直にお伝えします。
「返ってきた」ビアンテ、素性はこんな一台

今回の主役は、マツダ・ビアンテ。年式は平成26年式(2014年式)で、20系後期のアルファードや、ホンダRC1オデッセイと同じころに登場したモデルです。「意外と新しいですね」というのが、正直な第一印象でした。走行距離は14万kmとしっかり走っていますが、外装はパッと見そこそこ綺麗。車検も1年残っている状態でのご紹介です。数字を並べただけなら、まだまだ家族の足として活躍できそうな一台に見えます。
ところが、この車には見た目ではまったく分からない、大きな弱点が隠れていました。年式も距離も「普通に使える」レンジなのに、なぜ返品され、再販もされずにオークションへ向かうことになったのか。その理由こそ、この回のいちばんの見どころです。ちなみにビアンテは、他社のOEMではなく、マツダが自社で開発・生産した独自のミニバン。だからこそ、良い部分もクセのある部分も、しっかりマツダの味が出ています。
エアコン修理に約15万円――「直せない」理由

弱点、それはエアコンです。しかも厄介なことに、比較的直しやすいコンプレッサーの故障ではありませんでした。コンデンサーからのガス漏れで、この部品がダッシュボードの奥に収まっているため、交換するにはダッシュボードを丸ごと外す大掛かりな作業が必要になります。見積もりはおよそ15万円。エアコンひとつで、これだけの費用がかかってしまう場所でした。夏場にエアコンが効かない車は、家族を乗せるにはやはり致命的。「効かないまま我慢する」という選択が難しいのが、この故障の厄介なところです。
ここで効いてくるのが、車両本体の価格です。元値はおよそ40万円。その車に15万円の修理費をかけるとなると、金額のバランスが一気に崩れてしまいます。今回は保証を付けずに販売していたこともあり、オーナーさんはしばらくだましだまし乗っていたそうですが、ついに「もう無理」となって返却。車検は残っている、エアコン以外に悪いところもない。それでも中古車として売り直すことはできず、行き先はオークションに決まりました。年式的にはまだ新しいのに、たったひとつの弱点で価値が大きく変わってしまう。中古車の世界の厳しさが、よく表れた一台です。
台車として走った一台――ナビと装備

返ってきたあとのビアンテは、しばらくお店の台車として活躍していました。「動画で見たあの車だ」と気づいた常連さんも、いらっしゃるかもしれません。装備で目を引くのは、純正オプションのアルパイン製ナビ。マツダ純正の設定だけあって、後付け感のない綺麗な収まりです。さらにパドルシフトまで備わっていて、アップ・ダウンの操作もできる、ちょっと嬉しい仕様でした。
車検証上は8人乗りとされていますが、実際に8人がゆったり座れるかというと、そこは中古ミニバンらしい割り切りが必要です。室内そのものは広く、シートも割と綺麗な状態でした。ただし燃費は正直で、平均6.6km/L。2.4リッタークラスのミニバンとしても、なかなかシビアな数字だと言えます。エンジンは元気なぶん、燃料計の減りとは仲良くなれない、そんなキャラクターです。
2列目・3列目のリアルな居住性

おもしろいのが2列目のヘッドレスト。分割してスライドする凝った造りで、座面が一度持ち上がってから前後に動く、いわゆる「エリシオン方式」です。跳ね上げではなく、レールに沿って動くギミックは、よく考えられていて感心します。かつてのホンダ・エリシオンにも似た仕組みで、ミニバンとしての使い勝手をきちんと考えて作られた証拠。細かいところに手が込んでいるのは、素直に好印象なポイントです。
一方で、3列目はなかなか厳しめ。床が高く座面が低いため、足を前に投げ出せず、まるで体育座りのような姿勢になってしまいます。頭上の空間は取れているものの、長距離となると正直に辛いところ。内装の質感も、社長いわく「プラスチッキー」で、2列目の椅子もややしょぼい印象です。価格を考えれば納得の範囲ではありますが、質感に期待しすぎるのは禁物、というのが本音でした。
走ってみて――「飛ばす気にならない」ミニバン

実際に走らせてみて、まず気になったのがメーターの位置。やや高い場所にあり、下段のアベレージ燃費などの表示が、普通に座ると見えにくいのです。運転席のポジションによる部分もありますが、細かい情報を確認しづらいのは惜しいところでした。
走り味は、良くも悪くも穏やか。「飛ばそう」という気にまったくならない、トロトロと流すのが似合う一台です。ロールも結構あり、キビキビした走りを求める人には物足りないでしょう。ただ、運転席まわりの開放感はなかなかで、3ナンバーということもあり「デカめのセレナ」のような感覚があります。エンジンはマツダらしく、プレマシー譲りで割と元気。ボディはやや大きめですが、視界が開けていて取り回しの不安は少なく、家族の送り迎えや買い物といった日常の足には、むしろ気楽に付き合える一台です。燃費と引き換えではありますが、街乗りミニバンとして淡々と使うぶんには不足はありません。
買うならプレマシー? MPV? エリシオンと比べて
では、このクラスで一台選ぶなら――。社長の本音は、「ビアンテを買うなら、プレマシーやMPVの方がいい」というものでした。実際、同じマツダのプレマシーは、動画のコメントでも「いい車」「満足度が高い」という声が目立つ一台。同じメーカーのミニバンでも、選ぶ方向性ひとつで満足度が変わってきます。ここは、下は5万円台から上は2,000万円近い車まで、幅広く乗り継いできた社長ならではの視点です。1台のスペックだけを見るのではなく、「近い予算で、ほかにどんな選択肢があるか」まで並べて考えるのが、後悔しない車選びのコツです。
さらに引き合いに出たのが、ホンダ・エリシオン。ビアンテより10年ほど古い平成16年式の初期モデルですが、3列目の出来はエリシオンの方が上だったと言います。当時は60万〜70万円ほどで売られ、仕入れは30万〜40万円という時代の、いい車でした。年式の新しさが、そのまま満足度に直結するわけではない――ここが、中古車選びの奥深いところです。
「安い車」の裏側と、保証という保険
今回のビアンテが教えてくれるのは、「安い車には、安いなりの理由が潜んでいることもある」という現実です。40万円という価格はたしかに魅力的ですが、その裏にはエアコンという大きな爆弾が隠れていました。もし保証を付けていれば、結末は違っていたかもしれません。安さだけで飛びつくと、あとから大きな出費に泣くことがある――中古車選びの、いちばん大事な教訓です。
だからこそ中古車選びでは、本体価格の安さだけでなく、「もしもの時にどう守られるか」までを含めて考えることが大切です。愛’s Countryでは、一台ごとの素性も包み隠さずお伝えし、ご予算とご希望に合わせた車選びをお手伝いしています。気になる車種や、中古車選びのお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。あなたにちょうどいい一台を、一緒に見つけます。