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電話一本で仕入れた2,000万円級のG63。元ゲレンデ屋の社長が本音でレビュー

愛's MAGAZINE編集部

電話一本で、2,000万円クラスの車を仕入れる——そんなことが、本当に起きます。今回ご紹介するのは、深夜にかかってきた一本の電話から急きょ買い取った、メルセデスAMG G63。社長いわく「今まで生きてきて一番高い買取」です。ふだんは「100万円でもコスパ最強」の一台を扱うチャンネルですが、今回だけはケタが違います。元ゲレンデ屋という経歴を持つ中古車マイスターくに社長が、その素性から色をめぐるお金の話、走りの実力まで、包み隠さず語ります。

深夜1時、電話一本。始まりは「買い替え」

淡いグレーのメルセデスAMG G63の前でレビューするくに社長
きっかけは知人の社長からの一本の電話。買取のいきさつを語るくに社長。

きっかけは、知り合いの社長さんからの一本の電話でした。この方はもともとゲレンデ乗り。今回、限定75台という新しいモデルの抽選に当たり、乗り換えることになったそうです。そこで、いらなくなったこのG63を「買い取ってくれないか」と。かかってきたのは、なんと昨日の朝1時。額が額だけに一度はお断りしたものの、急きょ話がまとまり、その日のうちに送金・書類受け取りまで済ませて仕入れたといいます。「即現金化しないと、うちマジにお金がない」と笑う社長。撮影がこんな夕方になったのも、買取先から直行してきたからでした。ネットバンクの送金画面に並ぶ「百万、千万」の桁に、思わず手が止まったといいます。ハンコを押す商談ですらなく、画面をポチッと押して書類を受け取るだけ。「いつもとはわけが違う、まるで別世界でした」と、興奮まじりに振り返っていました。何を隠そう、これが社長にとって人生で一番高い買取。額の大きさに、いつもの落ち着きも少しばかり揺らいでいたようです。

令和5年式・1万6千km。中古相場は1,000万円超

令和5年式G63 MANUFAKTURプログラム仕様のフロントまわり
令和5年式・走行約1万6千kmのG63。MANUFAKTUR(マニュファクチャー)プログラムの特別仕様だ。

車両は令和5年式、いわゆる3年落ち。走行距離は約1万6千kmと、まだまだ新しい一台です。市場相場は、社長いわく1,000万円を優に超える水準。新車当時の価格はおよそ3,200万円だったといいますから、その価値がうかがえます。ちなみに、乗り換え先の新しいゲレンデは4,000万円近いのだとか。グレードはG63、マニュファクチャープログラムと呼ばれる特別仕様で、カーボンのインテリアパッケージなども入っています。メーカーオプションだけで、ざっと300万円ぶん。「最近のインフレはすごい」と、二人も思わず苦笑いです。しかもこの個体はワンオーナー車。手が入りすぎていない素性の良さも、こうした高額車では大きな安心材料になります。同じ年式・距離でも、選ぶ一台でこれだけ世界が変わる——中古車のおもしろさが、ぎゅっと詰まった一台です。

マットブラックの上に、さらにラッピング

ポルシェのクレヨン色にラッピングされたG63のボディとフロント
一見グレーのボディは「ポルシェのクレヨン」色のラッピング。下地は純正のマットブラックだ。

この車、色にまつわる話がなかなか強烈です。いま目に映るのは、やわらかな淡いグレー。じつはこれ、「ポルシェのクレヨン」という色のラッピングなんです。下地は新車時のメーカーオプションのマットブラック(注文書で73万円ぶん)。その上から、わざわざクレヨン色をラッピングでかぶせているのです。そのラッピング代、なんと180万円。合わせて約250万円が、色だけにかかっている計算になります。「マットブラックの73万、いらなかったんじゃ…」という社長のツッコミにも、思わずうなずいてしまいます。よく見るとラッピングが一部めくれている箇所もあり、このあたりは中古ならではの正直なところ。裏を返せば、ラッピングを剥がせば下から純正のマットブラックが顔を出すということでもあります。気分で装いを変えられるのも、この一台の懐の深さ。お金持ちの発想は、やっぱりスケールが違います。

カーボン・アンビエント・サンルーフ。300万円の作り込み

紫のアンビエントライトが灯るG63の運転席まわり
紫に光るアンビエントライトは純正で色替え可能。ツインディスプレイやカーボン調パネルも。

内装は、インテリアパッケージで仕立てられた特別なもの。カーボン調のパネルがあしらわれ、色の組み合わせも選べる仕様です。夜のドライブで映えるのが、紫に光るアンビエントライト。これも純正で、好みに応じて色を変えられるのだそう。天井には開閉式のサンルーフ、乗り込みをアシストする電動ステップ(こちらは社外品)まで付いています。ヘッドライトまわりの造形も凝っていて、「芸能人が憧れるやつ」と二人のテンションも上がりっぱなし。一方で、後席はリクライニングせず、荷室もそれほど広いわけではありません。実用性で選ぶ車ではなく、300万円ぶんのオプションは所有する満足感のためのもの。細部まで手をかけた前オーナーのこだわりが、そこかしこに残っています。そう考えると、この作り込みも腑に落ちます。ぱっと見の派手さだけでなく、触れて、座って、初めて分かる価値が積み上がっている——それが、このクラスの一台なのだと実感させられました。

元ゲレンデ屋が驚いた、現行の「静かさ」

G63の側面と、その横を歩くくに社長
「すげー普通の車になった」。元ゲレンデ屋の社長も、現行の洗練ぶりに驚く。

じつは社長、独立する12年前まで、ゲレンデ専門店で働いていた元プロ。当時はまだ右ハンドルのディーゼルが出るか出ないかという時代で、扱っていたのは名機G55コンプレッサーでした。「マジでうるさい、ゲロゲロいってた」と振り返ります。ところが現行モデルに初めて乗ってみると、その印象は一変。「すげー普通な車になった」「おとなしくて、優等生に仕上がった」というのが率直な感想でした。武骨で硬派だった昔を知る人ほど、この洗練ぶりには驚くのかもしれません。乗り換え先の最新モデルにはISGという電動アシストも組み込まれ、さらに静かになっているとのこと。ボディは今も伝統の「463系」を受け継ぎ、いかついシルエットと存在感はそのまま。見た目は変わらないのに、中身だけが静かに現代化している——そのギャップこそ、いまのゲレンデの魅力なのかもしれません。

V8・4リッター。走り・サイズ・そして燃費

心臓部は、約4リッターのV8ツインターボ。スポーツモードにして踏み込むと、車高が高いぶん前後にグッと沈み込み、「まるでアトラクション」とはしゃぐ場面もありました(もちろん法定速度内です)。一方で、意外なのがサイズ感。全幅は1,800mmちょいと、レクサスRXあたりと大きく変わらないほどで、取り回しは思ったよりラク。コーナリングランプのおかげで左前の見切りも良く、「割と運転しやすい」とのこと。さらに上にはGL・GLSといった5mを超えるモデルもありますが、G63はあくまでちょうどいいサイズなのです。ただし燃費は正直で、ハイオク・リッター4kmほど。タンクは100リッターと大容量ですから、走りの代償はしっかり覚悟しておきたいところ。輸入車らしく走行中にディスプレイが一時消えるひと幕もありましたが、これは再起動で復帰。ナビユニットが本当に壊れると70万円コースというのも、輸入車ならではの世界です。もうひとつ、知っておくと役立つのが左右ハンドルの価値差。ゲレンデは左ハンドルのほうがオークションで200万円ほど高いのだとか。ベンツは総じてその傾向で、以前扱ったCLS550も左ハンドルで強い値がついたそう。とはいえ「毎日乗るなら、右ハンドルの乗りやすさが一番」というのが、元プロの正直な結論でした。

2,000万円の車を、売るということ

最後は、少し商売の話。「100万円の車と2,000万円の車、20倍儲かるわけじゃない」と社長。利益率5%で考えれば、100万円の車なら5万円、2,000万円なら100万円を乗せないと同じ割合になりません。しかも、その間はキャッシュがごっそり出ていく。「考えると、けっこうシビアなんです」と本音がこぼれます。それでも今回買い取ったのは、「せっかく来た話だから」、そして「YouTubeのいい題材になるから」。どうせ扱うなら、お客様にとっても、見てくださる方にとっても価値のある一台にしたい——中古車マイスターの目利きと、少しの遊び心が詰まった一本でした。愛's Countryでは、こうした一台一台の物語ごと、あなたのカーライフに寄り添います。予算やこだわりに合わせた一台探しは、ぜひ一度ご相談ください。

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